報連相・会議・提案書に効く!現場で使えるロジカルシンキングの型

ビジネスの現場で、日々飛び交う「報告」「連絡」「相談」、そしてチームで行う「会議」や上司・顧客に向けた「提案書作成」。どれも欠かせない業務ですが、「伝えたつもりが伝わっていない」「説明したのに理解されなかった」といったすれ違いが、あなたの周りでも起きていないでしょうか?

このような課題の多くは、「論理的に伝える力=ロジカルシンキング」が十分に活用されていないことが原因です。

「わかりやすく伝えること」はビジネスにおける基礎力

複雑な内容を、短く・正確に・相手に合わせて伝える能力は、どんな職種でも重要です。特にIT業界では、専門用語や技術的な背景を含んだ情報を、非エンジニアや他部署の人に伝える場面が多くなります。

こうした場面では、「わかりやすさ」が成果や信頼に直結します。どんなに優れたアイデアや分析も、伝わらなければ“ない”のと同じ。だからこそ、論理的に整理し、相手の理解を助ける「伝え方の型」を身につけることが、ビジネスの基礎力となります。

報連相・会議・提案書で差がつくのは“思考の整理力”

現場でのコミュニケーションでは、「何が問題か?」「なぜそうなるのか?」「だからどうするのか?」という構造を、明確に提示できる人が重宝されます。単に事実を伝えるだけではなく、「意味づけ」「因果関係」「提案」までをセットで整理する力が求められています。

たとえば、会議での発言が短くても、「あの人の意見は筋が通っていて納得できる」と評価される人がいます。これはまさに、論理の流れが自然で理解しやすい=思考が整理されている証拠です。

3つのシーンにフォーカスしたロジカルシンキングの型を紹介

この記事では、ビジネスシーンで日常的に登場する「報連相」「会議」「提案書」の3つにフォーカスし、それぞれに有効なロジカルシンキングの“型”をご紹介します。PREP法、ロジックツリー、So What/Why Soといった汎用性の高いフレームワークを、具体的な活用例と共に解説していきます。

この記事を読むことで、以下のような成果が期待できます。

  • 自分の伝え方に「型」ができ、自信を持って話せるようになる
  • 会議や提案書での説得力が上がり、評価が変わる
  • 報連相の内容が的確・簡潔になり、コミュニケーションロスが減る

「伝える力=考える力」。

思考を整理し、論理的に伝える力は、すべてのビジネスパーソンにとって武器になります。

ぜひ本記事を通して、現場で“すぐに使えるロジカルシンキング”を身につけていきましょう。

「ロジカルシンキング(論理的思考力)」という言葉を聞いたことがあっても、それを実践的に使いこなせている人は意外と少ないものです。報連相・会議・提案書など、日常業務でのあらゆるアウトプットにおいて、実はこのスキルが“差”を生む大きな要因となっています。

ロジカルシンキング=論理的に筋道立てて考える力

ロジカルシンキングとは、物事の前提や要素を分解し、因果関係や構造を明確にしながら、筋道立てて考えることです。

たとえば、「売上が落ちた」という現象に対し、

  • 原因は何か?(価格?競合?広告?)
  • それぞれの影響度は?
  • どの順番で解決すべきか?

といった形で、感情や勘ではなく「構造化された思考」で問題を捉え、解決策を導くのがロジカルシンキングの真骨頂です。

ビジネスにおける価値:意思決定・説得・合意形成の土台

ロジカルシンキングは、以下のようなビジネスシーンで大きな力を発揮します。

  • 意思決定:複数の選択肢の中から合理的に選ぶ
  • 説得:相手の納得感を高めるための根拠を示す
  • 合意形成:立場の違う関係者の意見をまとめるための「共通言語」として使う

たとえば、会議で「A案のほうがよい」と言うだけでは説得力がありません。しかし、「A案はコストが20%低く、導入期間も短いため、納期厳守という今回の条件に合致する」と筋道だった説明ができれば、相手の理解と合意を得やすくなります。

感覚や経験ではなく、“再現性のある型”を持つことの重要性

優れたビジネスパーソンは、常に「型」を使っています。PREP法で話す、ロジックツリーで課題を整理する、MECEで漏れやダブりを防ぐ。こうした思考のフレームワークは、属人的な経験や感覚に頼らず、誰でも同じように成果を再現できるようにするためのツールです。

ロジカルシンキングを「型」として身につけることで、

  • 書くこと(提案書・議事録)
  • 話すこと(報連相・会議)
  • 考えること(問題分析・戦略立案)

すべての業務が、より効率的で成果につながるものに変わります。

ロジカルシンキングは、「考える力」として抽象的に語られがちですが、実際のビジネス現場では“使える型”として落とし込むことが重要です。ここでは、「報連相」「会議」「提案書」というシーンごとに、実践的なロジカル思考のフレームワークを紹介します。

①報連相で使える「PREP法」

PREP法

Point → Reason → Example → Point

(結論 → 理由 → 具体例 → 再結論)の順に伝えることで、相手にとってわかりやすく、納得感のあるコミュニケーションが可能になります。

実践例:トラブル報告の場面
  • Point(結論):○○サーバに接続できないトラブルが発生しています。
  • Reason(理由):今朝8時の再起動後からHTTPレスポンスがなく、稼働監視も停止しています。
  • Example(具体例):実際にcurlでの確認結果やエラーログを添付しています。
  • Point(再結論):復旧対応中ですが、9時までに見通しを再共有します。

このように、まず結論を明確に伝えることで、相手が状況を即座に把握でき、その後の判断もしやすくなります。

コツ:「とにかく結論から」

伝える順番に迷ったときこそ、PREP法を意識して「まずは結論」を徹底するだけで、ロジカルな印象に変わります。

②会議で使える「ロジックツリー」

会議では、「何が問題か」「どこを深掘るべきか」を短時間で整理する必要があります。そこで使えるのがロジックツリーです。

ロジックツリーのポイント
  • 問題を階層的に分解し、論点を「見える化」する
  • 各分岐が MECE(漏れなく・ダブりなく) なっているかを意識する
実践例:売上減少の原因分析

売上が落ちている
└ 商品力の低下?
└ マーケティング不足?
└ 顧客離れ?
└ サポート不備?
└ 他社乗り換え?

このようにロジックツリーを描くことで、表面的な会話では見えない「本質的な論点」が浮かび上がり、会議の質が格段に向上します。

コツ:付箋やホワイトボードを使う

視覚的に情報を並べることで、複数人での議論もスムーズになります。

③提案書で使える「So What/Why So」思考

提案書で伝えるべきは「事実」ではなく、「事実から導かれる意味と価値」です。

「So What/Why So」思考
  • So What?(だから何?)
  • Why So?(なぜそう言えるの?)

この2つの視点を常に自問することで、読み手にとって意味ある提案ができます。

実践例:提案書の構成改善

現状:サーバコストが年間300万円かかっている

So What?(だから何?):このままでは増収よりもコスト増の方が上回るリスクがある

提案:FJ-Cloudへ移行することで、年間コストを30%削減できる

Why So?(なぜそう言える?):同規模企業での実績+算出根拠付きコスト試算を提示

このように、「情報に意味を与える」ことで提案の説得力が大きく高まるのです。

コツ:1スライド1メッセージ

「読み手が一瞬で理解できる」構成を心がけましょう。

ロジカルシンキングは、決して一部のエリートだけが使うものではなく、どんな現場でも実践できる“技術”です。今回紹介した「PREP法」「ロジックツリー」「So What/Why So」は、どれも再現性のある型。日常業務に落とし込むことで、あなたの報告・会議・提案が一段と“伝わる”ものに変わります。

次の章では、これらの“型”をどのように習慣化するか、その実践的なトレーニング方法を紹介します。

ロジカルシンキングは一度学んだだけで身につくものではありません。むしろ、日常の業務や会話の中で「使い続けること」によって、その力は磨かれていきます。ここでは、“伝わるロジカルさ”を定着させるための3つの習慣を紹介します。

①「まずは全体構造を考える」

– 図に書き出してから話す/書く

思考が整理されていないまま話し出すと、聞き手は何を伝えたいのか分からず混乱してしまいます。そこで役立つのが、話す・書く前に「全体像を図にしてみる」習慣です。

具体例

報告書を書くとき、「背景 → 課題 → 対応状況 → 今後のアクション」のような構成をまず手書きで整理するだけで、アウトプットの質は大きく変わります。

おすすめツール
  • ホワイトボード
  • メモ帳
  • マインドマップツール(XMind, Coggle など)

構造を可視化することが、論理的な表現の第一歩です。

②「結論から伝える」

– 思考の順番と説明の順番を分ける意識

私たちは何かを考えるとき、たいてい「情報収集 → 分析 → 結論」という順序をたどります。しかし、そのまま説明すると「結局何が言いたいの?」となりがち。

ビジネスで求められるのは、「説明の順番は“逆”にする」こと。つまり、「結論 → 理由 → 補足」の順番です。

具体例

×「今期の売上は昨対比で90%で、広告施策が弱かったこともあり〜」

〇「今期の売上は減少しました。その理由は、広告施策の効果が低かったためです。」

相手は「答え」から聞きたいと考えています。思考プロセスは後からでも伝えられます。

③「相手の理解にフォーカスする」

伝えるより“伝わる”を目指す

「自分が言いたいことを話す」ことと「相手に伝わるように話す」ことは、似て非なるものです。本当にロジカルな人は、相手の頭の中を想像しながら話します。

コツ
  • 相手が知っている情報/知らない情報を意識する
  • 専門用語や略語を使いすぎない
  • 相手が「なるほど」と思える比喩や具体例を挟む
具体例

エンジニアでない相手に「CI/CDが整備されていない」と伝える代わりに、「製品の出荷体制が、手作業ばかりで自動化されていない状態です」と言えば、伝わりやすくなります。

習慣こそが“思考の質”を変える

ロジカルに伝えるためには、特別なスキルよりも「意識する習慣」が大切です。

  • まず構造を考える
  • 結論から話す
  • 相手目線で伝える

この3つを日々のコミュニケーションの中で繰り返すことで、「伝え方の質」が自然と上がり、周囲の信頼や仕事のスピードにも好影響を与えてくれるはずです。

これまでの記事で紹介してきたように、ロジカルシンキングとは「筋道立てて考え、整理して伝えるためのスキル」です。そして何より重要なのは、これは才能ではなく“誰でもトレーニングで身につけられる技術だということ。

PREP法、ロジックツリー、So What/Why Soなどの「型」は、初心者でもすぐに使える強力なツールです。使いこなすことで、報告・連絡・相談、会議での議論、提案書でのプレゼンなど、あらゆる業務コミュニケーションの質が一気に向上します。

型を使えば、“考える力”も“伝える力”も飛躍的に高まる

例えば、「結論から伝える」だけでも、上司からのフィードバックのスピードが上がったり、「ロジックツリー」で課題を分解するだけで、議論が迷走せずに済んだり。1つ1つは地味でも、積み重なると“仕事そのもののスピードと質”が変わります。

これは単なるコミュニケーション術ではなく、ビジネス全体の生産性を高める「技術的アプローチ」です。

日々の「報連相・会議・提案書」から始めよう

大切なのは、「現場で使う」こと。

セミナーや本で学んだ知識を、そのまま終わらせてしまっては意味がありません。まずは、今日の打ち合わせ、明日の報告メール、次回の提案書といった、目の前のタスクで小さく試すところから始めましょう。

「考える → 伝える」のプロセスに“型”があると、誰でも迷わず一歩を踏み出せます。

ロジカルシンキングは、ITの知識や業務経験と並んで、現代のビジネスパーソンにとって不可欠な“ベーススキル”です。そして、これほど効果的で再現性の高いスキルは他に多くありません。

次の打ち合わせで、まずは「結論から」伝えてみてください。あなたの言葉が、きっと変わります。

以上、「報連相・会議・提案書に効く!現場で使えるロジカルシンキングの型」の話題でした。